過去ログ - リヴァイ「俺が何者なのかを証明しよう――この大物を釣ることによって」
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53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/07/03(水) 20:26:09.52 ID:pAzE59o20

「信号弾で状況は知らせたが……救援はこねぇだろうな」

本隊は遥か遠くだろう。この場所は今回の目的地から大きく外れているはずだ。救援の見込みは薄い。
そして馬はなく、仲間を助ける為に無茶をした結果、ガズも残り僅かで、刃はこれが最後。
絶望的な状況。

「……なんてザマだ」

打開策が思いつかない。このままでは巨人の餌になるだけだろう。
冷静にその事実を分析して舌打ちする。
それでも……恐怖は無かった。死への恐怖で、身体が震える事はない。

元々、死んだように生きていたのだ。ここで死のうが何かが変わるわけではない。
ただ……無性に苛立つ。
班の人員が巨人に食われた時の光景を思い出すと、憎々しい苛立ちが沸き上がってきた。

「どこに行こうが……この世界は下らねぇ」

壁の中だろうが、壁の外だろうが。
例外なく弱き者は捕食され、強き者が傲慢に笑う。
どこに居てもその構図は変わらない。

「……今更になって思い出しやがる」

地下街でゴロツキをやっていた内に、忘れていた激情。いや慣れてしまっていたのだろう。
世界の残酷な構図に。
忘れていたはずの、失っていたはずの熱が、怒りとして蘇る。
別に自分自身が善人だなんて、口が裂けても言うつもりはない。
生きる為とは言え、あくどい事を何度も繰り返してきたのだから。
しかし。
それでも。
その構図が気に食わないと思うのは、俺の傲慢だろうか。分からない。

「だがここで……死ぬわけにはいかなくなった」

そうハッキリと宣言し、目の前から出てくる12メートル級の巨人を睨みつける。
命以外に何も持っていないが、忘れそうになっていた何かを思い出しそうなのだ。
此処で食われるのは真っ平御免だ。

「そもそもてめぇら汚ねぇんだよ」


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