過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part3
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571: ◆kaGYBvZifE[saga]
2013/07/07(日) 21:49:42.89 ID:0KKU5keR0
「クッククク……ヒャーッハッハッハ!! 可哀想だねぇ、千秋ちゃんよぉ!
 気分はどうだい? 悔しいか? 妬ましいか? 腹立たしいかぁ?」

へたり込んだ千秋には、もう男の嘲笑さえ聞こえていなかった。
ただ、空っぽになった頭が、自分の内側からじわじわと湧き上がってくる何かを感じ取っていた。

「おっとぉ? 絶望のあまり声も出ねぇか。ま、そっちの方が都合がいいけどよぉ」

押し寄せてくる絶望――絶望? どうして?

「いくら努力したところで、お前は『歌姫』にはなれねぇんだよ。なにせお前は無能力者、
 何にも持たねぇただの小娘なんだからよぉ」

何故こんなにも、『歌姫』に裏切られたと感じているの?
何故こんなにも、『歌姫』のことが妬ましいの?

「お前の感じる心なんてものは、如何様にも歪められちまうような脆いものだったのさ」

あのときの自分が持ち得なかった何かを、自分も得られるはずだと無邪気に信じていたから?
あのとき感じた優しい気持ちが、他でもない自分の心から発したものだと確信していたから?

それが、彼女によって強制された感情だとも知らずに。

「クッククク……安心しろ。俺が手助けをしてやるよ……その悔しさ、腹立たしさを晴らす手助けをなぁ」

虚ろな視線の先で、ころん、と何かが床に落ちて転がった。
ピンポン玉くらいの大きさの透き通った球体が、照明を反射してぎらりと輝き……。

「せいぜい、いいカースを生んでくれや」

千秋の内奥に渦巻いた感情に引き寄せられたそれは徐々に色を変え、紫色の光を放ちながら彼女と同化した。


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