過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part3
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◆kaGYBvZifE
[saga]
2013/07/07(日) 21:50:17.06 ID:0KKU5keR0
――――――――――
使った試しのない脳の領域が蠢き、熱を帯びるのを感じながら、千秋はゆっくりとステージに立った。
視線は虚空を見据え、闇の色をした瞳は、深く、昏い。
やがて千秋は、スポットライトの下で静かに歌い始めた。
伴奏もなく、スタッフもいない。観客は、客席にひしめく『泥』だけだった。
「――――♪」
歌声と共に『泥』が蠕動し、不定形の肉体は徐々にその形態を定めていく。
薄暗いホールの中にひときわ濃い闇を形作るように、大量のカース達が黒い泥の身体を蠢かせ、
千秋の歌が終わる頃には、一本角を生やした大蛇が客席を埋め尽くしていた。
憤怒、嫉妬、絶望――様々に名を持った暗い情動を掻き立てる歌声を聴きながら、舞台袖に立っている
ふたつの影があった。
「これでよかったか? 瑞樹ちゃんよぉ」
「ええ……素晴らしい素材を見つけてくれたわね。歌でカースを活性化させるカースドヒューマンなんて」
「俺がその気になりゃあ、人間如きを大罪に堕とすくらいわけねぇよ。ところで例の件だがよぉ」
「うふふ……私に協力しろっていうんでしょう? わかるわ」
「クッククク……ま、仲良くやろうぜ。サタンの野郎をブッ殺す役は譲ってやるからよ」
「じゃあ、せいぜい役に立ってもらおうかしら。うふふっ……」
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