11: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:27:46.05 ID:bAq3pyUe0
「人がいいのは、君じゃないか。勝手な事をして、ごめん」
「わたしはいいのよ。ああ、なら、もう、どうでもいいか」
帰り際、いつものように僕と彼女は隣に並び帰っていた。
彼女の口から飛び出す話は常に新鮮で面白いものだった。
なんだか人生の酸いも甘いも噛み分けてきたような感じだ。
「ああ。そっちは、君の家の方向じゃないよ。大丈夫?」
「大丈夫よ。話してたら気を取られたのよ。それじゃあ」
帰ってきた頃には母は仕事に出かける直前であるようだった。
行ってらっしゃい。行ってくる。ご飯、台所にあるから。
ああ。女連れ込んじゃダメよ。もう少し大人になってから。
「しないよ。僕は宿題があるんだ。じゃあ、頑張って」
「ええ。今日もハゲを見ながら笑って呑むの。死にたい」
根本的に卑屈かつ前向きでどこか達観したのは母のせいだろう。
母のおかげと言うべきか。僕を息子と思っていて思っていない。
どこか慣れ親しんだ友人の如くとんでもない事を言うのだから。
さて、宿題をはじめよう。
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