7: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:25:14.74 ID:bAq3pyUe0
しかし不可思議であったのは、彼女との関係が長く続くことである。
未だにその関係は切れてもいないし、また深く繋がったわけでもない。
これは僕の予想だが、なんだかこのまま一生を終えそうな気がする。
小学校に入る頃には、僕は母親に尊敬の念をも抱くようになっていた。
いつも気楽そうな母が、帰ってくると通帳を見て頭を抱えていたのだ。
ああ。子供ながらに察した。あれは僕と自らを励ますような言葉だと。
それゆえ、お下がりのランドセルを背負っても、僕は母に礼を述べた。
「この使い込んでる感は、もう、なんていうか、高学年だよ」
「ごめん。あたしがもっと、稼ぎよかったら。すぐにいいのを」
「使えるもの、捨てたら勿体無いよ。僕はこれが気に入ったんだ」
あんた、割といい男じゃない。もう少し大人になったら、もてるわよ。
人間の価値が、顔以外にあるって女がわかったとき、あんた、絶対に。
母が嘘をつかない人間であるあたり多分僕の青春はいつか来るだろう。
来てくれなければ、それはまあ、そのときだ。
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