9: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:26:26.84 ID:bAq3pyUe0
月とスッポン。
一言でこの関係性を表せるのだから便利な言葉だと思う。
教室の空気は凍った。そして僕の表情も同様に凍っていた。
「何をしているの。早く帰りましょう。悩みでもあるの」
悩みは主に目の前の彼女についてである。悩みしかない。
僕という存在の介入によって友達が減ることを懸念した。
それなのに地雷原に足を突っ込むとは僕より男だと思う。
「おい。お前、あの。ああ、あの。どういう関係なんだよ」
疑いの目に囲まれるのは僕だった。一種の人気者である。
顔の造形に関して考慮に入れれば動物園のチンパンジーだ。
と言っても友人関係はせいぜい一年と少し程度である。
「ただの友達だよ」というと「当たり前だろ」という視線。
少しでも美男子であれたら、人の動揺を誘えたのだろうか。
「付き合ってたりとかしてんのか」男前な同級生の言葉だ。
小学一年生にして他人と交際を望んでいた彼は僕より猿だ。
「彼女は、付き合ってる人はいないよ。間違いないと思う」
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