26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/07/02(火) 23:51:30.76 ID:beAzPYdzo
ばたり、とドアが閉まる。今、この部屋の中には俺だけだ。
でも、小梅は言う。大きな猫がいると。大きな猫が、みくの特等席に座っているのだそうだ。
小梅の発言を聞いてから、少しの間、動けなかった。息もできなくて、涙が出てきそうだった。
確かに昔、実家で猫を飼っていたけれど、あいつより大きな猫なんていっぱいいるだろう。
それじゃあ最近、大きな猫に出会っただろうか。この辺の野良猫に、そんなに大きい奴なんかいなかったはずだ。
それに、そこにいる「何か」は、自分の事を「大きな猫だと言え」と指示してきたらしい。
そんな高圧的な、ふてぶてしい「大きな猫」に、一匹だけ心当たりがある。
P「――――おい、みく。もしかして、そこにいるのか」
もちろん、返事なんて帰ってこない。そうだよ、だって”いるわけがない”んだから。
P「おい、いるならなんかしてみろ。そこに、お前の大好きなねこみみがあるじゃないか。少しでいいから動かして見せろよ」
頭ではわかっていても、なぜか俺の口は止まらない。
そして、机の上のねこみみは動かない。そりゃそうだ、これは独り言だ、独り言なんだ。
過去にとらわれた、悲しい、哀しい男の、可哀想な独り言――だったら、よかったのにな。
あはは、じょうだんだろ。ねこみみが、かたかたと、うごいてやがる。
ばかやろう。そんなにおれのなきがおがみたいのか。なきごえがききたいのか。
P「み``、み``く``」
もう、抑えきれなかった。あの時以上の、大きな泣き声。あのスタジオで、泣いた時。みくには聞こえていなかったであろう泣き声。それ以上の大きな声を上げ、泣きじゃくる。
隣の部屋にはちひろさんと小梅がいるけれど、そんなことはもう気にならなかった。
なんだか、”みくが俺の目の前にいる気がする”。
ちひろさんの言葉を思い出す。さっさと言って楽になれ、という言葉を。
P「グズッ、みく、聞いてくれ。俺、お前に言ってなかったこと、いや、言えなかったことがあるんだ」
P「これを言っちまったら、何かが駄目になっちまうような気がしてさ」
P「でも、お前がいなくなって、すごく後悔した。やっぱり言っておけばよかった、って」
P「もう遅いかもしれない。でも、言う。みく! 俺はお前の事が――――」
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