過去ログ - 菫「ロリ宥は最高だな」 ゆう「ふぁ」
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/07/02(火) 23:50:27.39 ID:Amv3xG3So
八月始めの定期試験が終わったその夜、菫は無性に映画が見たくなった。
ハーフパンツと無地のTシャツに着替え、向かうは自転車で五分のレンタルビデオショップ。
こんなずぼらな姿は誰にも見られたことがない。闇夜を味方に鼻歌まじりで坂を下った。





菫「あった」

ジャンル別に別れていたはずなのに、それはSFコーナーでもなく、ミステリーサスペンスの隅っこへ追いやられていた。
ここの店員は、まぁそういうこともある。レンタル代が安いだけあってそれなりのサービスなのだろう、と大した不満を抱かなかった。
暇な時間は大学生の特権で、それを少々潰されたぐらいで腹を立てる輩はいない。神経質の菫でさえ大学に進学してから時間を切り詰めることは少なくなった。
BDを表す青テープが貼ってないか確認して、手にとりパッケージをひっくり返す。
これでもかと押してくる煽り文に目が奪われた。満足げにケースから取り出すと、横の暖簾が揺れた。

 「でさー、高校のやつそっくりで、」

 「へー」

男の世界から笑顔で出てきた同い年ほどの青年ふたりは、菫の姿を横から眺めるなり鼻を鳴らした。
冷房の風が吹雪のように冷たくなった。
「かわいい」「彼氏いるのかな」なんて聞こえる距離で言われて、初心な菫が頬を染めないわけがない。
ナンパ自体は大学で何度もされ、その度に聞こえないふりをしてなんとかやり過ごした。思えば女子高ですごした三年間は大変な枷を作り出していたのだ。

棚に沿って男達から逃げるようにレジへ向かう。ばつの悪そうなつぶやきを背に受け、無関心を装って歩を進めた。
一言でも言い返せばこんなもんかと吹っ切れる気もしないでもないが、やっぱり異性は怖かった。


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