過去ログ - 打ち止め「とある科学の最終信号!ってミサカはミサカは宣言してみる!」
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24:icoi ◆3FE3k//nSQ[saga]
2013/07/03(水) 18:53:31.97 ID:xkdr3CT00



 お姉様や上条当麻、今まで打ち止めを守ってくれたヒーロー達は、結果的には『暴力』によって勝利を掴み取ってきた。

 彼女はそんなヒーロー達を尊敬している。それは本当のことだ。
 けれど、人並みの悪意を持たないクローン人間である彼女には、そのやり方をどうしても真似したくないという意地があった。

 白井黒子に並ぶ大能力者へと成長した打ち止めにとって、暴力で悪漢をねじ伏せるのはたやすいことだ。
 それでも──彼女は拳に頼らないまま、なんとかして新しい方法を見付けたい。
 彼らとは違う形で困難に打ち勝ってこそ、様々なハードルを乗り越えて風紀委員になった甲斐があるというものである。


「……なんて言って、肝心の方法はまだまだ模索中なんだけどね、ってミサカはミサカは……きゃっ!?
 お、お姉ちゃんどうしたの!? ってミサカはミサカはちょっぴり慌ててみる!」


 ソファの後ろから現れたフロイラインに突然抱きしめられ、打ち止めは危うく手にした紅茶を零しかけた。


「にゃあー……」

「……あの悪癖はいまだに治りませんのね」


 その光景を白井とフレメアは妙に達観した目で見ていたのだが、初春だけは何故か「あ、あわわ」と頬を染めて指の隙間越しに窺っている。
 邪魔っ気な前髪を大きなちょうちょのヘアピンで留めている銀髪の少女は、持ち前の無表情のまま頬同士をすり寄せはじめた。


「はい。少し元気が無い様子だったので、スキンシップによる励ましが有効だろうと判断しました」

「う、嬉しいような恥ずかしいような、ってミサカはミサカはほっぺたをうりうりされながら目線を逸らしてみる。
……『コレ』、絶対に男の人相手にやったりしちゃ駄目だよ? ってミサカはミサカはガードの緩いお姉ちゃんに再三忠告してみたり」

「……? はい、よく分かりませんが、あなたがそう言うのなら私は従います」


 困り顔でそんなことを言う打ち止めに頭を軽く押し返され、フロイラインはいまいち釈然としない表情で首をひねった。
『友達』に合わせて自身を十五歳前後の体格まで少しずつ『成長』させていったという経緯を持つこのトンデモ人間は、
今や同性の打ち止めたちも唸る可憐な容姿の少女へと羽化を遂げていたわけだが、どうも本人にその辺の自覚は薄いらしい。
 ──お姉ちゃんの抱きつき癖、早く治さなきゃ色々マズイ。打ち止めは自らの行動目標にこっそりとこんな事を付け加えていた。

 こほんと咳払いした白井は、妙な空気を払拭すべく再び大声を張り上げる。


「と……とにかく! 御坂、貴女には今日中にきっちり始末書と反省文を出してもらいますの!
 フレメアさんは御坂が仕事を終えるまで床で正座! よろしいですわね!?」

「にぎゃああああああああ!? きょ、今日中ってもう夜の九時だよ!? ってミサカはミサカは絶叫してみる!」

「だっ大体、藪をつついてもないのに蛇が出てきた、だと……!?」

「さあさあ! わたくしたちに遊んでいる暇はありませんのよ!? 分かったら自分の尻くらいさっさと自分でお拭きなさい!」


 みゃァァあああああああああああああああああ!! と、二人分もの阿鼻叫喚が第一七七支部の詰め所を覆い尽くす。

『今日も平和ですねぇ』と悠長に紅茶を啜る初春とフロイラインに見守られ、次世代ヒーローたちの受難は結局深夜にまで及んだのであった。







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