2: ◆NbftaqZN9I[sage]
2013/07/05(金) 09:51:17.91 ID:Tz9CSvcy0
【事務所で二人】
扉を開け、事務所に足を踏み入れると、ソファから声がしました。
「あ……おかえりなさいなの、千早さん……あふぅ」
「ただいま、美希」
『あふぅ』と言った後、力尽きたかのようにソファに倒れ込む美希。
この子が着ている服は、私と違って露出度が多めだ。
夏だし、そういう服を着るのは分かるけれど……
「うみゅみゅみゅ……」
「どんな寝言よ……」
クーラーの効いた室内ではやっぱり少し寒いみたいで
赤ん坊のように縮こまりながら、無意識に腕をさすっていた。
「もう……風邪引いちゃうでしょう」
事務所に備え付けてある棚から毛布を出し、美希に掛けてあげる。
すると、美希の顔は安らかになった。
「ありがとなの……千早さん……」
てっきりもう眠ったと思っていたのだけど、そうではなかったみたい。
それとも、これも寝言なのかしら?
「……どういたしまして。おやすみなさい、美希」
「ん〜……温かいの……」
思えばこの子も14歳。いつもは大人びているから、忘れがちだけど……
こうしていると、まだまだ子供だなって思える。
私みたいな取っつきづらい人間を慕ってくれるのも、子供だからなのだろうか?
「……ありがとう」
いくら人づきあいが苦手だからと言って、寂しい時ももちろんある。
そんな時、この子が掛けてくれた言葉に救われる事も多かった。
「どういたしましてなの……」
やっぱり寝言で返ってくる言葉。
それがどうしようもなく、嬉しかった。
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