865:モヤシンズグリード ◆TspHqBVqH9jK[saga]
2013/10/01(火) 22:29:17.66 ID:W1OOL7o8o
九月一日 午後二時三十八分 とある地下鉄の構内
大穴に飛び込んだ風斬が着地したのは、凹凸のある線路の上だった。
それに加えて、穴は人間が飛ぶにはかなりの深さがあったせいか
落下の衝撃は受け流されずに風斬の足に伝導する。
もし仮に彼女が人間であれば、足首の骨が粉々に砕かれ
それに伴う激痛で地面をのた打ち回っていただろう。
だが、そうはならない。
確かに着地した瞬間、風斬の足首からは嫌な音が鳴り
同時に彼女は耐え難い鈍痛を感じていた。
だが、痛みは五秒もしない内に綺麗さっぱり消え去っていく。
彼女は試しに爪先で地面を軽く叩き、何も問題がないことを確認すると
顔色一つ変えずに、そのまま薄暗い構内を走り出した。
つまるところ、彼女は人間ではない。
切れかかった蛍光灯の灯りと石像の物と思われる巨大な足音を頼りに
人が通る様に設計されていない暗く薄汚い空間を進んでいきながら、
風斬は脳裏に浮かんでくる記憶の破片を繋ぎ合わせていく。
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