889:モヤシンズグリード ◆TspHqBVqH9jK[saga]
2013/10/13(日) 19:26:50.85 ID:hYzcSBUeo
九月一日 午後二時五四分 とある裏路地
「こらっ!!」
必死に逃げていた三毛猫を、インデックスが捕えたのは一四分後の事だった。
猫特有の俊敏さを生かし、様々な場所に蛇の様にすり抜るように走り
インデックスを翻弄した三毛猫に、彼女は修羅の如き怒りの表情を向ける。
最も、大声で喚きながら鬼の形相で三毛猫を追い掛け回し
逃走本能を最大限に煽った彼女にも非があると言えるだろう。
腕の中でバタバタと暴れる三毛猫を胸に抱きながら、インデックスは周囲を見渡す。
一言で言えば廃墟としか言いようのない場所だった。
正確に言えば背の低い雑居ビルに囲まれた裏路地なのだが
周囲のビルは例外なく取り壊しが決まっており、既に看板は下ろされ
窓ガラスやドアも撤去され、入り口が無造作に開いている。
そこから窺える内部も、内装が全て外され剥き出しのコンクリートの柱しか見えない。
どうやら、辺り一帯のビルを全て壊し、何か大規模な施設を建設するらしい。
三毛猫は、しぶとく雑居ビルに逃げ込もうと短い足を必死に動かすが
怒ったインデックスが、ほっぺたを膨らませながらそれを制した。
「む! あんまり聞き分けない事言ってるとホントにお仕置きしちゃうかも!」
そう言って、インデックスは三毛猫の耳に息を吹きかける。
途端に暴れるのを辞め、嫌そうな鳴声を上げながら小刻みに震えあがった。
それを確認したインデックスは呆れたように溜息をつきながら三毛猫を抱え直す。
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