過去ログ - 上条「異常だよ。この街は」
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99:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/31(土) 23:10:27.18 ID:eeWi06mW0




(人の命をなんだと……っ)

上条は心臓の鼓動が高鳴っていくのを感じる。昨日今日だけで何人、何十人もの生徒が殺された。
獰悪な能力者によって無残に、残忍に、悲惨に殺された。
何も悪いことなどしていないのに、何の罪もないのに……

上条は体温が高くなっていくのを感じる。走っているからという理由じゃない。
毛穴から変に汗が噴き出し、体温を下げようとする。しかし収まらない。
それすら蒸発させてしまうんじゃないかというほどの熱が全身を迸る。

抑え難い激情が上条の体を動かす。
走行速度は限界を越え更に加速する。

こんな感情を抱いたのは初めてだった。
今まで沢山の敵を相手にしてきた。魔術師やら能力者やら多くの敵と戦ってきた。

どの敵も目的は褒められたものじゃなかった。むしろ虫唾が走るようなものばかりだった。
しかしその『目的』のために彼らは動いていた。

目的を果たすための理由があった。信念があった。
堂々と目的のために活動していた。

今の敵、無能力者狩りをするような能力者にはそういうのが感じられない。
コソコソと隠れながら弱者を集団で襲い、殺す。
彼らに目的なんかないのだろう。何かの理由のために殺すんじゃなく、ただ殺すだけ。
もし仮に理由があったとすれば、暇つぶしとか、楽しいからという理由なのだろう。
昨日の惨劇はそんな殺し方だった。

化け物だと上条は思う。人を殺すのに躊躇いもなければ、目的もない。
犯人たちは通り魔のように人の命を奪う。

人として異常だ。そんな奴が捕まらず今もこうして殺しを続けている。
そんな事実が上条の心にドロドロとした憎しみを作り上げる。

「屑野郎が……」




憎しみという衝動を発散しながら裏路地を上条はただ、駆けていく。






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