過去ログ - 恵美「もしも魔王の正体に気づかなかったら」3巻
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]
2013/07/06(土) 19:44:19.04 ID:6QX93pwdo
恵美「あ、ど、どうも……」
すっかり忘れていたが、ここは店内だ。
見れば後ろのほうで店員達がざわざわと話し合っている。
――三角関係――佐々木さんは――待てよ、認知は――やだ、鬼畜――
そんな穏当でない単語が漏れ聞こえた。
そういえば、昨日千穂ちゃんとベルがアラス・ラムスを連れてここに遊びに来たとか言ってたような。
……まずいことをしただろうか?
木崎「申し訳ありません遊佐さん、真奥を少々お借りしても?」
あくまで客の立場である私に店長さんが言う。
恵美「あ、はい、……あの、すみませんでした。もう私は帰りますので」
木崎「恐れ入ります。……まーくん。奥へ」
それだけ言って、彼女は歩き出す。
魔王の威厳などまるで感じさせない、青ざめた貞夫もその後を続く。
……あとで謝っておこう。
それだけ考えて、店員達の奇異の目から逃げるように店を出た。
***
その日を含めて四日間のうち、魔王城へ足を運んだのは二度だった。
貞夫やアラス・ラムスと何でもないような話をし、夜が深まる前に帰る。
行かない日はやはり電話で話をした。
残った時間は、日曜日の準備にあてた。
今度の遊園地はアラス・ラムスを楽しませるためという目的に加えて、
ついに訪れた貞夫とのデートらしいデートなのだ。
美容院に行き、服や装飾品を買い揃えた。
幸いアラス・ラムスも日曜を楽しみにしているらしく、毎日行かずとも夜泣きはしていなかったようだ。
そして、日曜日がやってきた。
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