過去ログ - 恵美「もしも魔王の正体に気づかなかったら」3巻
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66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/07/06(土) 20:03:06.26 ID:6QX93pwdo
真奥「……何しに来たんだよ」

愛想を尽かされたと思ったのか、千穂ちゃんと一緒にやってきた私の顔を見た彼は、少しの驚きと共にそう言った。
その表情は暗く、力を感じない。
手には、遊園地で三人で撮った写真。

彼はヴィラ・ローザ笹塚の階段下に座り、いつかのように焚き火を燃やしていた。
……千穂ちゃんに聞いて知ったが、日本には迎え火、送り火という慣習があるそうだ。
アラス・ラムスが来た日にやっていたのは迎え火。
今彼がやっているのは送り火の方だろう。
アラス・ラムスを送るための。

恵美「聞きたいことがあって。……旅人が天使からもらったお守りだけど、王様になった後、どうしたの?」

真奥「っ……」

皮肉にも程があるその質問に、彼は傷ついたようだ。
だが黙って答えを待つ私に観念したのか、やがて語り出した。

真奥「……旅人は、王様になってお守りの存在を忘れた」

真奥「色々あって昔と同じぼろぼろの旅人に戻ったある日、いきなり目の前に現れたから今度は大切にしようと思ったけど」

真奥「王様時代の行いが悪かったせいか、お守りは人に奪われてなくなっちまったよ、多分な」

恵美「ふぅん、なるほど。でも旅人は、それが大切なものだってことは、思い出したんだ」

真奥「……なんだってんだ」

彼と出会ってからほとんど見たことのない、険の篭った目でこちらを睨んでくる。
千穂ちゃんは黙って成り行きを見守っていた。


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