1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/07(日) 13:14:45.44 ID:4gAHXrrfo
 
  
  
 『――っつーわけで、それぞれの種族のツガイを船に放り込んだ後は全部水で流しちゃうから。 
  そこんとこよろしくー』 
  
  
  
 理不尽極まりない神の一声、比喩でもなんでもなく神の一声で世界の終わりが告げられた。 
 そもそも緩やかに滅亡に向かっていた世界人類にとっては今更な出来事ではあったのだが。 
  
  
 
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/07(日) 13:15:41.54 ID:4gAHXrrfo
  
  
 21世紀後期、二国間で戦争が勃発。 
 最初こそ両国は通常兵器での戦争ではあったのだが、 
 痺れを切らしたとある大国の核攻撃を契機とし、 
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/07(日) 13:16:33.57 ID:4gAHXrrfo
  
  
  
 その頃には地表の6割は元々がどのような形だったのかわからないくらいに破壊されており、 
 また本来海洋であったはずの場所も焦土と化し、 
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/07(日) 13:17:02.15 ID:4gAHXrrfo
  
  
 そんな中、神の、いや、自称・神の一声が全世界に響き渡ったのだ。 
 実際のところ私は他の地域と連絡を取るすべなどないし、話しぶりからして 
 おそらく全世界に発信されたのだろうと推測しているだけなのだが。 
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/07(日) 13:17:37.77 ID:4gAHXrrfo
  
  
  
 「その放り込むツガイとやらの種族の中に『人間』は含まれるのだろうか……」 
  
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/07(日) 13:18:10.99 ID:4gAHXrrfo
  
 そんなことを周りの人たちと話している時にまたあの声が聞こえた。 
  
  
  
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/07(日) 13:18:50.50 ID:4gAHXrrfo
  
  
 他の皆も同じことを考えていたのだろうか一様に顔を曇らせている。 
 無理もないだろう。 
 これが物語で私がその主人公であるならば間違いなく自分が選ばれるという自信が持てるのだろうが、 
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/07(日) 13:19:20.16 ID:4gAHXrrfo
  
  
 文献と考えて、はっと思い出した。 
 神話として各地に伝えられている話の中にこんな話がある。 
  
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/07(日) 13:19:48.79 ID:4gAHXrrfo
  
  
 そんなことを考えていると後ろから声をかけられた。 
  
  
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/07(日) 13:20:16.84 ID:4gAHXrrfo
  
 ――納得? 
  
 「うん。だって私たちって生まれたときから戦争やらなんやらでずっと不運続きだったじゃない?」 
  
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/07(日) 13:20:45.18 ID:4gAHXrrfo
  
  
  
 そう言って私と彼女は空を見上げた。 
 今日は雪が降っている。 
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/07(日) 13:21:16.65 ID:4gAHXrrfo
  
  
  
 『――っつーわけで、それぞれの種族のツガイを船に放り込んだ後は全部水で流しちゃうから。 
  そこんとこよろしくー』 
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/07(日) 13:21:44.44 ID:4gAHXrrfo
  
  
 あ〜あ、結局不幸なままだったな私の人生。 
 まあ、いいことがなかったわけじゃないんだけど……。 
 結局のところ弱虫な私には過ぎたものだったとしか言いようがない。 
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/07(日) 13:22:12.37 ID:4gAHXrrfo
  
  
  
 「その放り込むツガイとやらの種族の中に『人間』は含まれるのだろうか……」 
  
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/07(日) 13:22:50.49 ID:4gAHXrrfo
  
  
  
 『大丈夫大丈夫ー。どの種族も差別する気はないよー。その代わり特別扱いもしないけどね』 
  
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/07(日) 13:23:23.21 ID:4gAHXrrfo
  
 そんなことを考えて歩いていると座ってぼーっとしてる彼の後姿が見えた。 
  
  
 ――大変なことになっちゃったね 
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/07(日) 13:23:51.30 ID:4gAHXrrfo
  
 ――うん。だって私たちって生まれたときから戦争やらなんやらでずっと不運続きだったじゃない? 
  
 「ああ、なるほどな。つまりこれは私たちにふさわしい最期というわけか」 
  
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/07(日) 13:24:19.36 ID:4gAHXrrfo
  
  
 そう、最期くらい。 
 最期くらい少しはわがままになってもいいよね? 
 あっ、雪が降ってきた。 
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/07(日) 13:27:31.98 ID:4gAHXrrfo
  
  
 ついに運命の日がやってきた。 
 再び神がやってきたのだ。 
 やってきたというのは正しくないのかもしれない。 
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/07(日) 13:28:07.79 ID:4gAHXrrfo
  
  
  
 『それじゃあもう人間以外の動物のツガイは全部船の中に入れちゃったから最後に人間を入れるね』 
  
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/07(日) 13:28:33.76 ID:4gAHXrrfo
  
  
  
 「もうお別れだね」 
  
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