過去ログ - 【スーパーストリートファイターCROSS:StrikerS EDITION Ver.2013】
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10: ◆Jb4H4fHUCfVN[saga]
2013/07/08(月) 01:32:03.81 ID:LmysRF55O
「おとうさん…おねえちゃん…」
いつ崩れるか分からない壁や天井、そして今にも襲い掛かってきそうな激しい炎に囲まれた空港の中、孤独・不安・恐怖で今にも泣き崩れそうな自分を、涙を流しながらも家族を呼ぶ事で必死に鼓舞しながら足を少しずつ前に進める。

…急に気持ちが悪く、胸が痛くなってきた。あまりの苦しさに膝を突いて胸を押さえる。

「はあ、はあ…。ここは…どこ?」
気付いたらあたしは何も無い場所に、上も下も分からない謎の空間に浮いていた。
ここが何処なのか、そんな事を考える間を与えず胸の奥から込み上げてくる気持ち悪い「何か」。
それは黒い…言葉では言い表せないほどに真っ黒。見ているだけで吸い込まれそうな気がするほどの暗黒だった。
それは心の奥底から間欠泉の如く噴き出す。
「何か」は何色にも染まっていない空間を、あたしの胸の奥を、紙が水を吸うかの如く黒く染めていった。

「やめて…でてこないで…きえて…!」
『闘エ…壊セ…。修羅ノ如ク…悪魔ノ如ク…鬼ノ如ク…』
あたしを闘いへと誘う声が頭の中で反響して聞こえる。
声の正体が何なのかは分からなかった。でもこれに染まり切ったらあたしがあたしでなくなる事だけはなんとなく分かった。

やだ…あたしはまだあたしでいたい。
あたしはただひたすらに強く願った。
「きえて…きえろぉぉぉぉ!!」


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