過去ログ - とある魔術の禁書目録SS 幻想魔笛 『帰らず村』
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168:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/07/17(水) 11:19:16.64 ID:8RSmbkLF0
上条「……ん?」

上条(朽ちかけた柱を背に暫く……10分ぐらいウトウトしていたらしい)

上条(この状況下で眠れる根性の図太さに感謝すべきか呆れるべきか)

上条(……まだまだ夜は明けない。『神柄足』との付き合いは続く)

上条「……?」

上条(おかしい、よな?そろそろ回ってくる時間だし、大体反対側に回ったって微かな音は聞こえる)

上条「……」

上条(……やっぱり、音が途絶えている。いつの間に?)

上条(暫く様子を見るべきか、それともこれ自体がトラップで、そっと外を覗いたらガーって来そうな……?)

上条(どうしたもんか……やっぱ専門家かな?)

上条「(なぁ五和、ちょっといいかな?)」 クイッ

上条「……」

上条「(五和?)」 クイッ

上条(引っ張った手応えはある。けど返事はない)

上条(寝ちまってる?……人の事は言えないけど、昼間に少し仮眠取っただけだからな)

上条(女の子には辛かったのかも……)

上条「……」

上条(とか、考えてる間も特に音はしない)

上条(俺の呼吸音ぐらい。別に荒い息って訳じゃないけど、他が静かだから対照的に大きく聞こえるだけだ)

上条「……?」

上条(おかしい、よな?)

上条(『どうして俺の呼吸音だけがする』んだ?『隣に居る筈の五和の音が全然しない』のは何故だ?)

上条(これじゃ、まるで――)

上条「……五和?俺だ、上条当麻だ。学園都市の」 クイッ

上条(小指に結ばれ赤い糸の感触はある。あるが――堅い)

上条(もしも糸が五和に結ばれているんだったら、多少は弾力性もある筈なのに)

上条(糸から伝わってくる重みは、只々無機物めいている)

上条「五和っ、開けるからなっ!いいよなっ!」 ギシィッ

上条(急ごしらえの襖を開いた先、五和がいる――筈の、隣の部屋には)

上条(誰の物音も、何の物音もしない。それは当然だ)

上条(俺の左手から伸びている赤い糸は――)

上条(本来繋がれるべき女の子とは似ても似つかない、ささくれ立った柱に繋がれ――)

上条(そこに居るであろう五和の姿はどこにも、なかった)


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