過去ログ - とある一位の精神疾患case3. -SS速報VIP

過去ログ - とある一位の精神疾患case3.

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207: ◆toRuBXJ1L4YW[saga]
2013/09/15(日) 22:13:53.95 ID:uoZIyUCso

土石流のようだった。

出来がいいと絶賛されている一方通行の脳裏に、たった数年前の習慣が押し寄せる。

ごめんなさい、もうしません、ごめんなさいごめんなさい、ぶたないで、いや、いたくしないで
やめてください、にどとしません、ごめんなさい、もうやめて、いやだ、はなして、ごめんなさい
やめて、やめていやだ、いやだいたい、いたいよ、いたい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめん

（おかあさん）

「ァ……っ――……！」

確かに二度以上の回数で、一方通行の背筋が震えた。

熱病のように荒い息を吐く。
代わりに、砂ぼこりの混じった唾液に混ぜて、舌先まで零れかかった言葉達を飲んだ。

「……っ、あ、は？い、たい。はは、」

ジリジリと神経に送られてくる信号を、一方通行は無視した。

「何だよそりゃあ？」

そんなものは、知らない。
もう二度と、その感覚を覚えずに過ごす、そう決めたはずだ。

痛くない。
痛みなど、最初からなかった。

いたくない、いたくない。ぜったいに――

「面白ェ、ははは、ちくしょう。イイぜ、最っ高にイイねェ」

「……っ、」

そこに立っている生き物の、些細な部分が目に入らなくなった。

肉だ。
あの記憶にこびりついた、女の形の肉と、同じ組成でできた肉。

ぞっとする。今まで、自分はこんな肉どもに囲まれて暮らしていたというのか。
あまつさえ、その皮膚の下さえ、あれと同じ形の、肉と骨を――

疼く頭痛に足元がフラついた。

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