16: ◆bsVOk5U9Es[saga]
2013/07/10(水) 23:07:29.86 ID:cQFsek9Mo
不意に強い風が吹いた。風のざわめきに小鳥たちが囀りを始める。
木々が揺れ、新緑鮮やかな葉が数枚ひらひらと舞う。
優雅に、淀みなく、たおやかに。
するりと葉先が水面につくと、お辞儀をするかのように静かに倒れ、川の流れに乗っていった。
「あんなふうに、なれたらいいですね。」
「なれるさ。君なら美しく歌い、舞える。」
そう言って男は黒い革張りのケースを取り出す。
中には名刺の束があり、そのうちの一枚をこちらに差し出した。
「すぐに返事をくれとは言わないよ。ご家族の判断もあるしね。
実際、アイドルになるということは君の人生にとっての大きな賭けになるだろう。
ただ、俺自身としては君がステージの上にいる景色を見てみ――ちょっと失礼。」
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