過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part4
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195: ◆IRWVB8Juyg[saga]
2013/07/13(土) 22:52:05.27 ID:+W9EwcPAo
 あるいは、同じ悪魔であり、友人であるベルゼブブが憑いている海老原菜帆ならば受け止められるのかもしれない。
 色欲の力を注いで、それをそのまま昇華させることができるなら。面白いではないか、と。
 友人の大切なものを、自らのものへと変質させてしまう。そんな背徳的な感情がたまらなく彼女を興奮させた。
 しかしどうも最近は忙しいらしく、うまい接触方法も思いつかない。深い策を練るのは苦手ではないが、退屈だった。

 あるいは、力を少し多めに注いだ子供をこともなさげに浄化させてみせたあの女に力を注いだらどうなるのかも気になっていた。
 どのような生物であれ、生殖を必要とする以上は『色欲』と離れることは不可能だ。
 その流れを、繋がりを見ることができる彼女にとって、相思相愛であるなんて見せかけは三流のコメディのようなものだ。
 誰であれ、より優秀な相手と結ばれたがる。本能ではそういうものであるし、それが正しいのだから。
 しかし、その女の持つ繋がりは。『どこへも繋がっていなかった』のだ。

 正確には、繋がりが光に溶けて消えていた。
 どこへでもつながり、どこへもつながらない。矛盾した、生き物とはかけ離れた性質。
 なのに、確かに鼓動を感じる。世界への、周囲への好意を感じる。
 無生物のような特質と、生物らしい性質。そんな生き物が『特定の誰か』への好意や悪意を持つことになったらどれほど愉快だろう?
 困惑するのだろうか、それとも――

 しかし、その女の行方は結局知れずまま。どうやらそこそこに強力な『ヒーロー』の『チームリーダー』らしい。
 なんともそそられる響きだ。周囲との関係が崩れた時、どうなってしまうのだろう? 彼女の好奇心は沸き立った。
 しかし、かかわれば必然的に目立ってしまう。刹那の快楽に身を落とすことも嫌いではないが、面倒事を起こしてまでというほどの強欲ではない。
 それゆえ、こちらも保留ということになってしまっている。

 彼女は色欲の悪魔、アスモデウス。
 新しいおもちゃを探し、街をさまよっていた。


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