過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)4
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116:ルカ(お題:妾の産んだ女の子と本妻の産んだ男の子) 2/6 ◆/xGGSe0F/E[saga sage]
2013/07/25(木) 18:08:12.23 ID:lYHSJ4eN0

 夜、親父たちが寝静まった後で、僕は足音を立てない様に地下に降り、独房の明り取りの窓越しに中を覗いてみる。そこ
には予想通りに、瑠伽(るか)が退屈そうにベッドに寝そべっている光景があった。
「瑠伽」
 僕が呼びかけると、瑠伽はベッドから身を起こしてこちらを見た。彼女の長く美しい艶を持った黒髪が、はらっと音を立
てるかのように揺れた。
「また来たの? タケル」
「だって、俺くらいしかここに来ないじゃん」
「別にタケルしか来ないわけじゃないよ。ご飯を運んでくるメイドさんがくる。体洗ってくれるメイドさんもくる。アンタ
のお父さんが性欲を発散しにここにくる。アンタの母親がストレスを発散しにここへ来る。ほら、私にはお友達がたくさん
いる」
「それはお友達じゃなくて。腐った死体みたいな奴らだよ」
「いいよ。なんでも」
 瑠伽はこの家に来てから、随分と性格が荒んでしまったように思う。まあそれも当然だろう。なにせこの家のほとんどが
糞みたい人間なのだから。もちろんそのこと自体が大きな原因ではあるのだろうけど、瑠伽は多分、この家で暮らすには純
粋過ぎたのだ。瑠伽がこの家にやって来たのは今から五年前、彼女が十歳の時で、僕が十三歳の時だった。
 僕はずっと一人っ子として暮らしてきた。たいていの我儘は聞いてもらえたし、両親は僕を甘やかした。メイドや執事た
ちは僕を怒らせない様に畏まった口調で僕に接してきた。自らの馬鹿さ加減を露呈するかのように、僕は毎日リムジンで学
校に通っていた。良く自分が荒んだ性格に育ったり、自らが偉いんだと傲慢になったりしなかったものだと思う。多分部屋
に篭って本ばかり読んでいたから、人間の業の深さみたいなものを少なくとも普通の人目線で学ぶことが出来たのだろうと
思う。親父みたいなのはくだらない人種なんだと、いろいろな本から、またはクラスメイトたちの態度から僕はそれを学ぶ
ことが出来た。なにせ僕はいじめられっこだったのだ。みんな僕の親父が嫌いで、イコールその息子である僕の事も嫌いに
なるのは仕方のないことだった。
 話はそれてしまったが、瑠伽がこの家にやって来た当初は、メイドや執事たちは瑠伽をどう扱っていいものか悩んでいた。
それは瑠伽が妾の生んだ子供だったからだ。父は若い頃、かなりの遊び人かつ好色家であり、いろいろな女性を犯すのが好
きだった。それは犯すと言う表現が適当だろう。権力を盾に、または金の力で女をねじ伏せて、のしかかりながらセックス
するのが親父は大好きなのだ。綺麗な女性に目隠しさせて、手錠をかけ、相手が動けない状態で体のいろいろな場所をくす
ぐりながら時間をかけてセックスするのが好きな変態親父なのだから(俺が親父の性事情を聞いたのは、俺のシンパである
老執事の相川からだった。一応奉公人の中にも派閥があり、少ないながらも親父を嫌って俺を信奉してくれる執事やメイド
がいるためだ)。
 そんな親父が犯した女性の中で、一人だけ変わり者の女性がいた。自ら親父に迫り、親父の子供を進んで身ごもった女だ。
それが瑠伽の母親だった。その母親は親父から手切れ金みたいなものをもらって、瑠伽と共に九州地方の都会で暮らしてい
た。だが、後にその母親が自殺してしまい、瑠伽は親父を頼らざるを得なくなった。親父はと言えば、瑠伽を喜んで我が家
の娘として迎え(舌なめずりをする親父の姿が浮かぶ)、まるで瑠伽をダッチワイフでもあるかのように、毎日毎日、幼い
瑠伽の体を舐めたり、撫でたり、性器を口に含ませたりして楽しんでいた。もちろん僕の母は、瑠伽の事をゴミクズ以下の
存在として扱い、それぞれの派閥のメイドたちは、それぞれの信奉者の通りに瑠伽を扱った。僕はそんな事情を知ることな
く、瑠伽を突然紹介された妹として、普通に可愛がった。僕がその歪んだ事情みたいなのを知ったのは、今から一年前、例
の老執事、相川から教えてもらってからだ。瑠伽が親父の慰み者になっていることも、母親の虐待を受けていることも、そ
れを知らなかった自分自身にも僕はひどく憤った。しかし、無力な息子である僕にはその状況をどうすることもできなかった。
せめて瑠伽の話し相手になって、瑠伽を大切に扱ってやることぐらいしか、僕には出来なかった。



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