121:ルカ(お題:妾の産んだ女の子と本妻の産んだ男の子) 6/6 ◆/xGGSe0F/E[saga sage]
2013/07/25(木) 18:16:01.76 ID:lYHSJ4eN0
僕は瑠伽のいる牢屋に向かった。
すでに親父に命令されていたのだろうか、メイドの仕業によって、瑠伽は白いワンピース一枚の姿で、目隠しをされなが
ら、腕をつり上げてIの字に拘束されていた。足も枷で拘束されている。瑠伽のその姿は、しかし圧倒的な美しさを誇って
いた。巨匠が描いた印象的な絵画が、そのまま現実の光景となっているかのようだった。無防備に脇を晒したまま、僕の前
で静かになぶられる時を待っているかのようだった。
「殺したよ」
僕はそう声をかけた。
「今、親父を殺してきた」
努めて明るく振舞うように、僕はそう言った。言いながら、瑠伽の目隠しを外して、僕は瑠伽の目を見た。瑠伽は僕を見
て、唇を震わせた。そして乾いた声がそこから、漏れ出した。
「なん……で?」
瑠伽は怯えたような目で僕を見ていた。
「全部くだらないからだよ」
僕は少しの間だけ考えて、そう呟いた。自分ではどうしようもない事柄に直面した時、僕には破壊衝動が生まれることが
あった。性欲が抑えられないようなときに、家に迷い込んだ犬を殺したり、僕に逆らえないメイドの爪を剥いだり、三階の
窓から思いっきり花瓶を叩きつけたり、抑えられない衝動があると、僕はそれを必ず破壊に変換して、外に発散させた。そ
れは恐らく、親父も知らない僕の癖だった。僕は抑えられない性欲や親父への嫌悪感を、暴力として、親父に向けた。ミネ
ラルウォーターの入ったグラスで鼻を殴り、気が済みまで顔を殴り、近くにあったゴルフクラブで、親父の醜く膨らんだ腹
を殴った。親父は気持ち悪い液体を吐き、ドロドロに濁った血を吐き、微かな呻き声を出して倒れた。そして僕は、親父の
頭を踏んづけて、全体重をかけて、骨を砕こうとし、それから散々にいたぶって、最後には首を絞めて殺した。
「やっと親父を殺せたよ。本当に気持ち良かったなぁ。親父がぐちゃぐちゃになる瞬間! 歯がぶっ飛んで、信じられない
ものを見るような目で、僕を見続けるんだ。目玉を潰した時の感触もすごいんだ! まだ指に残ってるよ! 左目を人差し
指で潰して! 右目は力づくで眼窩から引きずり出して、ほらその右目はポケットに入ってる! これ母さんに見せたらど
んなに驚くかなあ! 興奮して潰さないように気を付けなくちゃ! あと、ほら、心臓! 親父が死んだ後に体から引きず
り出して、潰したんだ! ゴルフクラブで、心臓を叩きつぶしたんだ! もう、もう僕はこうふんしすぎて、やばいよ!
三回くらい射精しちゃった! 親父を、僕は圧倒的な暴力で殺したんだ! でも、瑠伽、やばいからにげよう、瑠伽、僕が
連れてってあげるから、逃げよう、もう親父に、いじめられないし、母さんにぶたれることもないし、好きな事を出来るん
だよ! ほら、鎖をはずしてあげるから」
そう言って僕はメイドを殺して手に入れた鍵を使って、彼女を拘束している鎖の錠を外そうとした。しかし興奮のあまり、
手が震えて、上手く鍵を外すことが出来なかった。
僕は何度も、何度も何度も、おかしいなあ、おかしいなあ、と呟きながら、彼女の鎖をがしゃがしゃと動かした。おかし
いなあ、こんなはずじゃないんだけどなあ、おかしいなあ、おかしいなあ、もっと、ぼくは、おかしいなあ、もっと、ちが
うんだよ、はずれないなあ、くさりがはずれないなあ。僕は涙を零しながら、呟き続けて、でもいつまでも鎖を外すことが
出来ずに、僕はどうしていいのか分からなくなって、膝から崩れ落ちて、涙を零しながら、おかしいなあ、と呟き続けた。僕
はもうどこにも逃げることが出来ないような気がした。もう取り返しの付かないような事をして、僕は一生この牢獄から逃げ
出せないような気がした。
おかしいよ、はは、おかしいなあ。
そんな僕を、彼女は見下ろすように、圧倒的な美しさで縛られ続けていた。
一人で勝手に行動し、泣き続ける僕に向かって、瑠伽は最後にこう言ったのだった。
「……気持ち悪い」
それが、僕と瑠伽の最後の言葉だった。
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