過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)4
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181:ハッカのお話 1/2(お題:薄荷) ◆d9gN98TTJY[sage]
2013/07/28(日) 22:42:03.44 ID:kH39JpV00


「ええ。……で、ハッカ油があるようにシソ油もあるんですが、ハッカは茎から、シソは
種から採ることが主流らしいです」
「同じ科なのに採集方法が違うのか」
「シソ油は主に調理に用いられますが、ハッカ油は揮発用が求められますからね」
「採集効率はともかく、シソと同じ方法で採集したらハッカも調理油として使えたりしない
ものかねえ」
「おや、ご執心のようで」
「咽の奥までサッパリするてんぷらを食べてみたいなと思ったんでね」
 最近は疲れからか胃もたれが辛いが、ハッカならどうにかなるんじゃないかなという期待
もあった。
「なるほど、それはいい。長い休暇が取れたら少し試してみましょうか」
 その言葉で我に返っても、それほどショックを受けない程度の期待だったが。
「どうかされました?」
 佐久間は顔を覗き込んできていた。
 そして俺は頭を下げていたのだと自覚した。
「いや、長期どころか、少しの休みでもあったらいいな。……とね」
「ああ、それなら最後の、ハッカのような話ですが」
 そこで佐久間はしてやったりとばかりの笑顔で
「前々から納期の無茶振りばかりしていたあの会社ですが、どうやら監査が入るみたいで……」
と語った。
 思わず耳を疑った。
 けど、耳は俺に疑われながらもしっかりと佐久間の話を聞き続けた。
「今回のプロジェクトも、そう急がなくていいことになりそうですよ」
「それは……」
 ハッカの話はどこへやら。
 けれど確かに聞けてよかった話で、俺は咄嗟に「確かにスッとする話だね」と言った。




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