過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)4
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927:お題「許す」 1/5 ◆JspZXJ6NHA[sage]
2014/01/03(金) 05:35:01.76 ID:+wCw+knJo
――私がコレと呼ぶ男と話すようになったのは一月前のことだった。
 コレは俗に言うストーカーと呼ばれるモノで、金髪碧眼の私に興味を抱いたのだろう、ク
ラスに馴染めない私を遠くから観察していた。絶対に接触はしてこない。なぜなら、コレも
いじめられっ子で、わたしもいじめられていたからだ。
 
――私はアメリカから日本に渡ってきた外国人で、半年前に私立香坂高校に編入した。
 父がアメリカ人、母が日系アメリカ人の子供として生まれた私に、アジア人的な外見の特
徴はなく、見た目は完全に白人であった。それは母が日系とはいっても、クオーターだから
だろう、と父が言っていた。事実、写真の中の母は日本人には見えない。白人とアジア人の
混合が生み出したアンバランスな人種だ。しかし、日本語は上手だった。それは母方の祖父
の影響もあり、私は幼い頃から日本語を教わってきたのだから、それも当然である。けれど、
言語を扱えるからといって、まったく違う環境の同い年の人間たちとコミュニケーションを
上手にとれるかといえば、そうでもない。第一に外見の違い。これは自惚れではなく、客観
的事実としての自己評価だけれど、私は美しいのだ。そのおかげで、わたしは転校して数日
はちやほやとされていた。しかし、知ってはいても、使い慣れない言語と、アメリカ人とし
ての仕草と日本人としての仕草の違いがハナにつくと、一部の女子が私の美しさからくる嫉
妬からだろう、やっかみだし、いじめがはじまった。
 最初は小さなことだった。
 教科書に悪口を書かれたり、体操着が水浸しになっていたり。彼らは間接的にいじめを敢
行した。
 そして私はそのいじめに抵抗してしまったことで、ピラミッドの最下層へと転落してしま
ったのだ。
 素直さはときに民衆の怒りを買う。私は、自身の美貌に絶対の自信があった。少なくとも、
この学校のなかでは、私が一番美しいと断言できるだろう。その肥大した自意識が、私に言っ
てはならないことを言わせた。
 ブスをブス呼ばわりすると、大抵の者は怒りに顔を染める。それが事実だったとしても。
私にとって些細な諍いが、醜いアヒルの子たちの態度を硬化させ、そして、いじめは直接的
に行われるようになった。
「キモ」
「ばーか」


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