929:お題「許す」 3/5 ◆JspZXJ6NHA[sage]
2014/01/03(金) 05:36:04.86 ID:+wCw+knJo
――「うっ、うっ、うっ」
使われなくなって久しい旧校舎の一角にある、薄暗い体育倉庫のなかで、人の姿をした一
組の動物が交わっていた。体育用具の放つ独特な臭いと、動物共が放つ激臭が混ざり、混沌
としたその空間に、畜生の浅ましい息遣いと鳴き声が響く。
私はマットの上で繰り広げられるその光景を見ながら、報復を遂げた喜びを感じるのかと
思っていた。けれど、心にあったのはただ、汚らわしい、という気持ちだけだった。
ネットなどで見たセックスの模様も、想像していたものと間逆で、ケガラワシイモノに映っ
たけれども、今、眼前に展開されている生の行為は、それを上回るものだった。
ううう、と、コレがくぐもった声を漏らすと、腰の動きがとまり、あの肉と肉が叩き合う
不快なリズムが終わりを告げた。
報復の対象となった少女はコレから身を離すと、うずくまったまますすり泣き始めた。浴
びせてやろうと思っていた罵倒の言葉は、喉を通らなかった。ビデオレコーダーを止め、う
ずくまる女に向けて何かいわなければならないのだが、言葉が出ない。なぜか鈍磨する頭に
聞こえるのは、うずくまる少女に語りかけるコレの声だった。
「あっ、だっ、だいじょぶ、ですか?」
つい先ほど自らの手で少女を陵辱したレイプ魔は、中腰になった腰から奇妙なほど長い男
性器をブラブラさせながら、優しげに語り掛けていた。
コレの手が少女に触れるたびに、少女はビクっと今できうる最大限の拒絶を示していた。
しかし、コレにはそれが面白いらしく、やたらめったに少女の身体を突き回す。その度に少
女の身体がビクビクと動き、陸に上がった魚のようだった。
私はやりすぎてしまったのだろうか。復讐の一歩目から、既に憎悪は哀れみに変わった。
これからもっともっと、私をいじめた奴らをコレに陵辱させようと思っていたのに、踏み出
した足は後ずさっていく。もういい。もう止めよう。そうやって傾きかけた天秤を振り戻し
たのは、うずくまった少女の声だった。
「絶対に許さないから。うちのパパは警察の偉い人と仲がいいんだから。あんた達なんか、
あんた達なんか」
泣きはらした女の顔から漏れる報復の声。怯えた目の奥にちらちらと瞬く怒りの光。その
様子を見るに、反省の二文字はどこにもないことは明白だった。やはり女は邪悪なのだ。猿
でも出来ることを、女は出来ない。哀れみの心は瞬く間に憎悪へと変わった。
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