966:私(お題:久方ぶり)4/7
2014/01/22(水) 15:04:27.92 ID:9MEAyqUio
「はい!」
驚いて振り返ると、先生の顔が目の前にあった。
「授業中だ!」
「す、すいません」
先生はテストを机の上に置くと教壇に戻っていった。ちらっと外を見ると、仁美はもう電話
を終えておとなしく体育座りをしていた。
昼休み、私は早速仁美のところへ行った。
「なんの電話だったの?」
「え?」
「体育の時!」
仁美はその言葉を聞いた途端に青くなった。
「あ……あー、見られてたか……」
「なんで授業中にするの? 何かあった?」
仁美はしばらく話すのをためらっていたが、意を決したように口を開いた。
「実は、ライブのチケットが電話販売しかしてなかったんだ。それであの時間から売り出し
だったから。あれがどうしても欲しくてさー」
そう言って仁美は肩をすくめてみせた。
「ああ、そうだったの。私何かあったのかと思った」
「あーごめんねー」
「でもそんな隠すようなことでもないじゃない」
「いや、そうなんだけど……なんか恥ずかしくて」
まあ確かにやっていいことではないけれど。
「それが気になって私名前呼ばれてるのに気づかなくて、先生に怒られたんだからねー」
「名前呼ばれてるのに気付かなかった?」
その時、仁美の表情が一瞬だけ変わった。
「……うん、テスト返してたんだ」
「そう……あ、昼休みだね。お昼ごはん食べよう!」
取ってつけたように仁美が言う。その顔はもういつもの彼女のものに戻っていた。
1002Res/567.52 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。