過去ログ - ミュウツー『……これは、逆襲だ』
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27: ◆/D3JAdPz6s[saga]
2013/07/13(土) 22:02:33.68 ID:G632siqIo

生きるために、何かを食べるのは当然のことだ。

だというのに、誰かに見られるのが異常に恥ずかしい。

見せたくない自分のはらわたを、人目に晒すような気分だった。

誰にも見られていないことを確認すると、痛くない左腕を伸ばして、きのみの一つを手に取った。

どおん、どおん、と、どこかから音が響く。


ミュウツー(……こんなもの、研究所でも洞窟でも見たことはない)


生まれてこの方、こうした固形のものを食べたことはなかった。

見たことも、聞いたこともない。


ミュウツー(いや、そうでもないか……)


ガラスの筒の中で、存在だけは聞いていたような気がした。


ミュウツー(あのコケより、マシだといいが……)

ミュウツー(……いい匂いだ)

ミュウツー(もぐっ)

ミュウツー(……う……)


鼻を通り抜ける甘い匂いと口に溢れた果汁に、気が遠くなりそうだった。

頭の中に、言葉にできない不思議な感情が湧いた。

胸がそわそわするような、身体が喜んでいるような感覚。

それは、『おいしい』という概念だった。

腹一杯食べるとまた眠くなったので、ミュウツーはシーツにくるまって眠ることにした。

モノを食べて腹が膨れるという体験も、この時が初めてだった。

ときどき、地面に響くような轟音がどこか遠くから聞こえている。


ミュウツー(……雨も……降ってないのに……雷……か……?)


そんなことを考えながら、ミュウツーは眠りに落ちた。




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