過去ログ - 京介「ただいま」 桐乃「おかえり」
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928: ◆IWJezsAOw6[saga]
2013/07/30(火) 13:21:48.53 ID:BIV3Nzb40
桐乃「待って」
腕を掴んだりはされていない。 それでも桐乃の声はそれだけで俺の動作を止めるには充分な物だ。
俺は開き掛けた扉から手を離す、そして振り返り、背中を向けたままの桐乃に対して尋ねる。
929: ◆IWJezsAOw6[saga]
2013/07/30(火) 13:22:16.37 ID:BIV3Nzb40
京介「い、いや……俺もう、のぼせてきてるし……さっき湯船入ったし……」
桐乃「ふ〜ん。 嘘吐くんだ。 そんなの嘘ってことくらい分かるんですケドぉ」
京介「う……で、でもなあ!」
930: ◆IWJezsAOw6[saga]
2013/07/30(火) 13:22:48.49 ID:BIV3Nzb40
まあ、でも。
京介「……なら、仕方ないか」
自分の意思とは裏腹に、俺はそう答えてしまう。 違うか。
931: ◆IWJezsAOw6[saga]
2013/07/30(火) 13:23:23.62 ID:BIV3Nzb40
桐乃「……面白い話どーぞ」
京介「すげえ振りだな……じゃあ一つ、面白いかどうか分からない話でもすっかな」
桐乃「お。 てっきりなんも話さないかと思っちゃった。 ヨロシク」
932: ◆IWJezsAOw6[saga]
2013/07/30(火) 13:23:51.22 ID:BIV3Nzb40
京介「ある所に馬鹿な男が一人居て、そいつにはすげー妹が居たんだ」
京介「勉強も出来て、容姿も良くて、運動だって出来る。 そんな、妹が居た」
本当に、何でも出来る妹だ。
933: ◆IWJezsAOw6[saga]
2013/07/30(火) 13:24:21.04 ID:BIV3Nzb40
京介「そんなことを思っていたのも……他にも色々とあり、妹とはしばらく会えない生活を送っていた。 会おうと思えば会えたのに、その男は会おうとしなかった」
妹はずっと、その男を見ていてくれた。 避けていたのは、その男で。
京介「だけど……ひょんなことから妹と知り合う切っ掛けを得て、それで話すようになったんだ。 少しずつな」
934: ◆IWJezsAOw6[saga]
2013/07/30(火) 13:24:47.77 ID:BIV3Nzb40
京介「その妹は天才なんかじゃねえって。 全部、努力して得た物だったんだって」
京介「勉強も頑張って、自分も磨いて、必死に走る練習して」
京介「今まで才能だと思っていた物は、そいつが必死に頑張って、一生懸命努力して、得た物だったっつう訳だ」
935: ◆IWJezsAOw6[saga]
2013/07/30(火) 13:25:20.09 ID:BIV3Nzb40
俺のその質問に、妹は少しの間を置いて応える。
桐乃「……ちょっと分からない、かな」
俺もまた、少しの間を置き、口を開いた。
936: ◆IWJezsAOw6[saga]
2013/07/30(火) 13:25:48.64 ID:BIV3Nzb40
京介「その妹はその男の誇りで、自慢の妹なんだ。 それだけは絶対誰にも負けないってな」
桐乃は俺の誇りで、自慢の妹で、そんで。
俺が世界一好きな、奴で。
937: ◆IWJezsAOw6[saga]
2013/07/30(火) 13:26:17.44 ID:BIV3Nzb40
京介「さあな? 今頃どっかで妹と仲良く一緒に風呂でも入ってるんじゃねーの?」
桐乃「ひひ。 かもね」
言いながら、桐乃は俺の手を掴む。 俺も、桐乃の手をしっかりと掴んで。
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