過去ログ - 恵美「もしも魔王の正体に気づかなかったら」短編集
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[sage saga]
2013/07/13(土) 19:12:47.79 ID:OcKQEmd6o
【聖職者の悩み】
鈴乃「……しかしなんだな、これが魔王軍幹部の姿とはな」
漆原「その側で茶を飲む聖職者に言われたくないんだけど」
クレスティア・ベル――鎌月鈴乃は、平然と背中で答える堕天使の姿に苦い顔をした。
日曜の昼過ぎ、家事を済ませ特にやることもなく、友人の恵美に電話してみると
今日は夕方から魔王城へ行くがそれまでは予定があるという。
もう一人の友人の佐々木千穂はバイト中である。
暇を持て余し、魔王軍の監視に隣部屋に来てみれば、そこにあったのはパソコンに向かうニートの姿のみだった。
真奥も芦屋も外出中のようだ。
特に会話を交わしたい相手でもないが、さりとて部屋に戻ってもやることはなし、
結局勝手に茶を淹れてくつろぐ鈴乃だった。
漆原「友達少ないね」
鈴乃「……貴様にだけは言われたくないぞ穀潰し。そもそも、この世界に友達作りに来たわけではない」
この世界で積極的に友人を増やすつもりは鈴乃にはなかった。
違う世界から来た以上、どうしても話せないことは多く深い付き合いはしづらいし、
今後も天使やらの襲撃があり得る自分達に一般人を関わらせるのは好ましくないと彼女は考えていた。
それ以前に、エンテ・イスラに再侵攻するという魔王達やそれに敵対する鈴乃は、
いつエンテ・イスラに戻ることになってもおかしくはないのだ。
ここに深く根を下ろすつもりはなかった。
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