過去ログ - 恵美「もしも魔王の正体に気づかなかったら」短編集
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[sage saga]
2013/07/13(土) 19:13:48.46 ID:OcKQEmd6o
漆原「あいつアラス・ラムスにはお菓子買ってやったりするんだよねー。僕が通販で買うと怒るくせに」
唇を尖らせ文句を言う漆原。
その姿に、鈴乃は疑問を抱いた。
鈴乃「……貴様らは、と聞いたぞ。貴様はどうなんだ」
鈴乃「腐っても、もと大天使、そして悪魔大元帥のルシフェルは、どう考えている?」
その質問に、漆原は手を止めて、考える様子を見せた。
普段の様子からは想像もつかないが、彼は人の身では想像もつかない遥かな年月を生き、
魔界にも天界にも通じた男だ。それがこの世界でのんびりと過ごしているのは、本意であるのか。
やがて漆原が口を開いた。
漆原「……逆に聞くけど、お前は自分達の現状をどう思う?」
鈴乃「……どう、とは?」
漆原「魔王と勇者と女子高生と悪魔と異端審問官が、仕事に遊びに……いや僕は仕事してないけど」
漆原「とにかく充実した日々を送って、仲良くしてる現状をさ」
仲良く、の範疇に自分を含められるのは心外な鈴乃だったが、確かに――
それは奇跡と表現しても過言ではない状態だろう。
漆原「僕の生きてきた年月から比べれば、ここに来てからの時間はほんの短いものだけど」
漆原「いや、だからこそかな。多分そんなに長く続かないこの時間を眺めてるのは、結構悪くない」
そう言う漆原の顔は、どこか遠くを見ているようで、鈴乃は何も言えなかった。
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