16: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:22:21.45 ID:EnRHzSex0
「…メールしてみます。少々、お待ちください。ああ、それと、もう一つが」
「観測者を選択いただけます。誰になさいますか。彼とか、オススメですよ」
普段の僕の耳に入らないような言葉を、僕はすぐに反復していた。
「ご説明がまだでした」と再びマニュアルを手繰り、彼は言った。
「願いを叶えた際、お客様が『幸せ』か『不幸せ』のどちらか、判断する者です」
「例えば、とある願いを叶えた。それによって、最終的にお客様がどうなったか」
「不幸せならば、その願いは、取り消し。また、新たに願いをお選び頂けますよ」
「幸せでしたら、その願いは確定。そのまま、その現実の中でお過ごし頂けます」
「厳正たる存在でなければなりませんので、信用に足る人物を選定しております」
彼は業務用らしきデスクから「こちらです」と、僕にリストを差し出して言った。
言葉は悪いのだが、風俗のちらしのようだった。顔が見えなくなっていたからだ。
「重ね重ねすみません」と前置きしてから、この写真集の理由を彼に尋ねていた。
「観測者ですので、判ってしまっては、お客様も過ごしにくいかとの配慮です」
「しかし、ルールはルールですので、お客様には例外なく、お伝えしています」
「そのおまけ、と言ったところでしょうか。前は、特に選べなかったのですが」
「選択いただいた観測者は、此方の世界から、お客様のところへ向かわれます」
133Res/129.69 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。