21: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:25:04.76 ID:EnRHzSex0
僕が次に目覚めたのは、ノックの音と共に、母親が部屋に入ってきたときだった。
後々聞いた話だが、僕はベッドの中で酷くうなされていたらしい。
それを母が見つけて、僕を揺り起こしたところ、飛び起きたのだ。
「酷い寝汗。大丈夫?熱でもあるのかしら。ああ、無いようだけど、気分どう?」
「あ。ええと、うん、大丈夫だよ。あの、さっきは、ごめんなさい。酷いことを」
「いいのよ。さっきは、お母さんも、酷いことを言っちゃったし。ごめんなさい」
こうして僕は母と仲直りした。しかし、何かしらの違和感が拭えなかった。
どうして、あそこまで激高していた母が、ここまで優しくなっているのか。
「ねえ。何か、良い事でもあった?ああ、その、変な意味じゃなくて」
「ないわよ。ああ。あるとするなら、仲直りできたこと、かしらねえ」
ご飯食べましょう。もうすぐ学校でしょ。その言葉で、僕は気付いた。
そういえば、僕は、あと数時間もすれば学校に行かなければならない。
ベッドにどれくらい包まっていたかは定かでないが、もう時間はない。
「早くご飯を食べちゃって。夜も遅いし、お皿も洗って寝ちゃいたいの」
「ああ。うん。すぐに食べるよ。すごく、美味しそうだ。いただきます」
僕は、幸せいっぱいの夜食を食べ終わり、ごちそうさまを告げた。
幸せ。幸せ?なんだっただろうか。僕は、何か、忘れていないか。
腕を組み、思案に耽っていたとき、母親の一言で全て思い出した。
「あなた、一週間もしたら、学校でしょう?早く、寝なさいよ」
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