48: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:42:35.19 ID:EnRHzSex0
「先生。こんばんは」
「おう。こんばんは」
校門の前に立っている先生に挨拶をし、僕は教室に向かっていた。
今日の星も綺麗だ。最近、この景色が少しずつ気に入りはじめた。
教室へと続く廊下を歩いていると、教頭先生がすごく慌てていた。
「廊下は走ってはいけません」と語る教頭先生が走っていた。
本来なら「いつも言ってるのに」と思うが、教頭先生は厳格な人だった。
つまり、ルールを破らなければならない事が起こっているのだと思った。
既に教室に居た彼女に「教頭が走っていた」と言うと静かな声で言った。
「まだ、知られてないみたいだけど。校長先生、亡くなったみたいなのよ」
「さっき、教室の鍵を借りに行ったら、そういう話が聞こえた。本当なの」
「分からない。僕は、走っていたことしか知らなかった。亡くなったの?」
互いに論証ができない会話を数分続け、先生が重い表情で入ってきた。
さすがに、普段から軽快な先生でも、人の死に対しては、こうだった。
「静かにしろ。騒ぐな。いいか。今日、校長先生が亡くなったんだと」
その後に待っていたのは、やはりと言った具合に、教室の騒々しさだった。
先生も想定していたのか、特に注意する声はなかった。無理もないことか。
そういえば、もう、僕の中にあった違和感は、消えていた。
133Res/129.69 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。