54: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:45:47.18 ID:EnRHzSex0
僕は、それを口にしてから「しまった」と思っていた。
彼女は以前、その話題について避けようとしていたはずだった。
なのに、今、こうやって僕が話を掘り返そうとしている。ああ。
彼女の方を振り向くと、やはり、怯えたような顔でそこにいた。
「あなたは」
「あなたは、一日が二十四時間である、と言いたいの?」
「そ、そんなに、真剣に考えてくれなくていいよ。ただ」
「いいえ。話して。これは、冗談とかではないの。早く」
彼女の視線に圧倒された僕は「仮に」を繰り返し、言葉を選んだ。
世界が変わる前の世界のこと。あの部屋の事。時間という概念を。
彼女は、僕の言葉を、一言一句聞き逃すまいとしていた。何故だ?
「僕の知っている世界は、一日が二十四時間だったんだ」
「一日に朝と昼と夜が来て。時間に追われることもない」
「信じられないだろうと思う。変な話をして、ごめんよ」
「いえ。いいのよ。わたしこそ、ごめんなさい。本当に」
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