55: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:46:15.80 ID:EnRHzSex0
「あなたは、元の世界に戻りたいって、思うかしら?」
「そうだな。僕は、この世界でもいいとは思ってるよ」
「でも、帰れるなら、帰りたい。ここは違う世界だよ」
そう告げると、彼女は寂しそうに「そう」とだけ呟いた。
「あなた、今、幸せ?」そう聞かれて「うん」と返した。
彼女は含むものがあったようで、僕に率直にこう言った。
「なら、わたしが、あなたを本当に幸せにしてあげる」
彼女は、涙を流していた。どうして、泣く必要があるんだ?
それも、寂しそうな表情に、どこか微笑が混じったような。
「ねえ。なら、わたし、言っておこうと思う。あなたに」
彼女はベンチから立ち上がり、僕の前に立っていた。
その背に、どこまでも輝く黄金の月がそこにあった。
「わたしは、黙っていたけれど」
「気付いてるかもしれないけど」
「わたし、あなたの事が―――――」
133Res/129.69 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。