65: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:52:03.35 ID:EnRHzSex0
そんな生活を続けて三週間程経ったある日、彼女が家へやってきた。
しばらく学校に出ない僕を心配していたのよ、と彼女は言った。
「これ、ご両親に」と、彼女はゼリーなどを買ってきてくれた。
「ねえ。少し、話でもできないかしら。少しだけでいいのよ」
「分かった。お母さん。お父さん。ちょっと、出てくるから」
僕は両親にそう告げ、何かあった時の為と、玄関先を指定した。
彼女もそれでいいらしく、廊下の壁にもたれながら、言った。
「心配してる。わたしだけじゃない。先生も、みんなもそうよ」
「ごめん。でも、おかしいんだ。何か。両親の体調が治らない」
「どこ行っても風邪。風邪。風邪。まともな医者が居ないんだ」
「僕は多分、もうしばらく学校を休む。そう言っておいてくれ」
「…分かった。クリスマスには、あなたにも、会えるかしら?」
彼女もまた、微かに微笑して、そう言った。寂しそうな表情で。
ごめん。僕は先に謝って「まだ分からないんだ」と告げていた。
どうして、彼女は寂しそうな顔をするのか。僕と同じだからか?
死を、直感していたからか?
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