8: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:17:52.71 ID:EnRHzSex0
「ああ。これ。演劇用のビデオ。音声字幕付き。おかげで吐きそうなのよ」
「窓を開けるから待って」という彼女の言葉の後には、溜息がこぼれていた。
疲れているのだろうか。そういえば、彼女は、何か用があったのではないか?
「ねえ。久しぶりの連絡には、何かしら、用事があったんじゃないのかな」
「ええ。そう。でも、用事は済んだ。わたしのこと、覚えてるかな、って」
「忘れるわけないよ。どこまで行っても、君とは、幼なじみなんだからさ」
僕がそう言うと、彼女は「どうも」と少し不機嫌そうな声をあげた。
「あなたは、わたしに用事はないの?」そう問われて、少し悩んだ。
用事か。用事というほどではないが、聞いてみたいことはあるのだ。
「ええと、僕のことで申し訳ないんだけど。僕って、幸せだと思うかな」
「幸せよ。少なくとも、悲劇のヒロインを気取れてる限りは。違った?」
「当たりかな。そうだよ。僕は、幸せなんだよ。そう言ってほしかった」
そんなこと言わなくても、わたしが幸せにしてあげるから。必ず。
それにしても、どうしてそんなことを聞くの?そう彼女は言った。
「僕に、奇妙なメールが届いたんだ」
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