9: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:18:26.84 ID:EnRHzSex0
「それって、幸せを運ぶ不幸のメールじゃない。わたしのところにも来た」
一瞬でも、僕は耳を疑った。何なのだろう、その矛盾に満ちたネーミングは。
どうにも、彼女は何かしらの詳細を知っていたようなので、僕は尋ねていた。
「これって、スパムメールの類なのかな。それにしても、有名なの、それ」
「有名よ。わたしのところだと、全員知ってる。ああ、だから、あなたは」
どうやら、僕が幸か不幸か尋ねた理由を、彼女は察してしまったらしい。
「それはいいけどさ」と僕は続け、メールの詳細に関する言及を求めた。
「あくまで噂だから、半信半疑で聞いて。これは、不幸を感じた人に届く」
「そして『はい』と『いいえ』の選択で、どちらか一方を選んで返信する」
「確か『はい』なら『お幸せに』と届く。けれど『いいえ』は、違うのよ」
彼女の言葉の端々から、焦燥感とも取れるような抑揚を感じ取っていた。
何なんだ。僕は、このメールを受け取ったことによって、どうなるのか。
「絶対に選ばないで」と彼女は僕に何度も前置きをして、静かに言った。
「『いいえ』を選んで返信すると『幸せになりましょう』とメールが来る」
「わたしの学校で『いいえ』を選んだ人がいたの。今はもう、いないけど」
「自殺したのよ」
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