99: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 19:14:30.22 ID:EnRHzSex0
「どれだけ世界が変わったとしても、この想いだけは変わらない」
あなたは 幸せ です。
あなたは 幸せ です。
あなたは 幸せ です。
「また、あなたの事を、好きになる。絶対よ。わたしの事だもの」
「そうそう。いい忘れてた。あなたの、告白のことなんだけれど」
「また、あなたが、新しいわたしを好きになったとき、聞かせて」
あなたは 幸せ です。
あなたは 幸せ です。
あなたは 幸せ です。
「待ってくれ。お願いだ。君は自らの生を願うんだ。僕は嫌だよ」
「もう、時間はありはしないの。あなたを、元の世界に帰すのよ」
「さようなら。今まで、ありがとう」
その声と共に、どうやら、僕の寿命も訪れていたらしい。
嫌だ。嫌だ。言いたくても、声が出ない。息ができない。
僕の意識がなくなる直前に「死んだか」と、声が響いた。
あなたは 幸せ です。
あなたは 幸せ です。
僕から電話を取り上げ、先生は僕の方を見ずに、彼女に言った。
「もしもし。てめえの願いは、あたしがきっちり叶えてやるよ」
「せいぜい、七時間もすりゃあ、この世界は書き換えられるぞ」
「てめえが死ねば、こいつは不幸せ。元の世界に帰れる。幸せ」
「あたしの仕事は、これで終わるってわけだ。あたしも幸せだ」
「だから」
「最後に、聞かせてやるよ。大好きな女の声だぞ。よかったな」
薄れゆく意識。僕は先生に携帯電話を耳に当てられているようだ。
ああ。もう。そう思った時には、僕の瞼はゆっくりと閉じられた。
最後に聞こえたのは、どこまでも優しい声音の、彼女の声だった。
「さようなら」
「わたしの『一生のお願い』は―――――」
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