13: ◆wPpbvtoDhE
2013/07/15(月) 20:49:15.55 ID:uzaH7YtN0
「核心を知ってしまうと、記憶は戻るのでしょうか」
「僕は脳医学を専攻していたわけじゃないが、可能性は高いと見ていいだろう。記憶だけが戻るか、それともあの奇病だけが発するか……もしくは、両方か」
「……」
八重樫は水無瀬の答えを鑑みた。あの奇病が発しても、己の血で一砂を助けることが出来る。
しかし「記憶だけが戻った場合」はその非じゃないのかもしれない。
「前に君は言ったね。自分の血で彼を救えるかもしれない、と」
「はい……」
そのつもりだ。一砂が己を求めるならいつでも差し出す。
「だが、あの奇病は精神に左右されるところがある……最悪は、彼が求める血は無いのかもしれない」
「……!!」
このケースは……考えてもいなかった。
今はもう、あの人は居ないのだから、一時だけは私の血を求めたのだから、彼はきっと私を求めるだろうとしか考えていなかった。
「で、でも!!」
「落ち着きなさい。これは、最悪の場合だ。可能性は低いだろう」
感情を荒げた八重樫を、水無瀬は諭すように抑える。
持論でこそあるがその可能性は低い。八重樫の経験談を踏まえると、そう答えが出たのだ。
「そう……ですか」
もし最悪のケースが起きてしまった場合、彼を救えるのかと考えると……体が強張った。
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