過去ログ - 続編・羊のうた
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44: ◆wPpbvtoDhE
2013/08/26(月) 00:28:06.48 ID:ZXiOza1x0

「あの、そちらの二人は?」
マミは、深夜帯まで営業している喫茶店の片隅に腰を下ろしていた。
待ち合わせ時刻に合せて来訪した三人、一砂と共に足を運んだ同級生らしき二人が気になったらしい。
先ほどのミルクホールで一度顔を合せてはいるものの、何故この場にまで来たのか。

「……友達です」
一砂はそれとなく返事を返した。
八重樫と木ノ下は軽く会釈をし、一砂の両隣に腰をかける。

それよりも、今はマミが何を聞きたがっているのか、本題に移りたいという気持ちが昂ぶっている。
マミは、ミルクホールで「教えてほしいことがあるので……後で、ゆっくり話しませんか?」と一砂に伝えていた。
その場で話せる内容ではないのだろうと一砂はどことなく気づくも、話題になる事柄に心当たりはなかった。
ただ、良い兆候だとは思えていない。
それでも、自分を纏う疑念を少しずつでも解きたいという気持ちが、三人で会った日以来疼いていた。
思い出さないほうがいいのかもしれない。けれど、胸の奥でその何かを渇望している自分がいる。

「先生に聞いたんですけど、知らなかったみたいだから」

「……」
突拍子の無いな言葉に、八重樫と木ノ下は身を固める。
当人である一砂もまた同じだが、言葉を遮らせたくはなかった。

「弟さんにこんなことを聞くのは、酷だってわかっています」

「……弟?」
思わずが言葉が漏れ出ていた。
マミが今口にした弟とは誰を指しているのか。全くを以て検討がつかない。
だが、話の流れからすると、自分を指しているのだろうと予測はつくものの……一人っ子の自分には縁の無い話だ。

「え?違うんですか?弟だって聞いたから……つい」
佐々木マミはそう聞いていた。あの病室で、確かにそう聞いたのだ。

「誰……から……?」
誰から、自分が弟だと聞いたのか。そもそもどういった経緯でそんな話を聞いたのか。
今目の前で語っているマミの言葉には、何一つ思い当たる節がない。
一砂の喉の奥から囀るようにして返された問いは、身体も同様に震わせていた。

「待て、一砂!!」
震える一砂の様子を、見ていられなかったのだろう。木ノ下は間に割って入る。
八重樫はもう気が気でないのか、テーブルに俯いたまま手を震わせるだけだ。


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