107: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/25(日) 05:51:48.13 ID:79dYTcmBo
「千秋ちゃん、どうやら軽い熱中症みたいだな。ちょっとコンビニ行って、塩飴でも買ってくるよ」
マスターはそう言い残して、台車をカウンターの方へと搬入してから再び外へと出て行った。
残された私は、こくり、こくりとペットボトルの水を舐めるように飲む千秋さんを介抱しつつ、尋ねる。
『もしかして、空調を切ったのは千秋さんですか?』
千秋さんは、力ない様子で少し頷くと、いつもの凛とした佇まいはどこへやら、まるで小動物のように水を飲んでいた。
私は、まだ少し浮いてくる汗を拭きとりつつ、少し時間を置いては、また尋ねた。
『なぜ、そんなことを?』
すると、彼女はペットボトルを口から離し、ゆっくりと答える。
「……昼過ぎに店にやってきたとき、マスターに店番を頼まれたの。でも、なかなか帰ってこないから、歌の練習をしようと思って」
それで防音扉が閉まっていたのか。道理でこの時間から珍しく閉まっている、と私は納得する。
が、結局空調を切ったこととどういう関係があるのか分からず、その件について聞くと、
「……空調は、乾燥するでしょう? 短時間ならともかく、長時間練習するときは喉に悪いのよ」
と、彼女はばつが悪そうに言った。確かに一理あるが、それで体調が悪くなっては元も子もないだろう。
彼女もそれは分かっているようで、少し練習に熱が入りすぎたわ、と自嘲するような言葉を呟き、またペットボトルの水をこくり、こくりと飲み始める。
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