152: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/09/01(日) 07:03:31.16 ID:GlcPGu06o
 「さあ、聞こう。答えてくれ、Pくん」 
  
  社長は、もう一度私に尋ねる。私は、全てを決心した。 
  
  そして、しっかりと社長を見据え、口を開く。 
  
 『――お受けいたします、社長。私はこれ以上なく平凡ではありますが、しかしながら有能であることを証明して見せます』 
  
  私を評価してくれた、かつての社長の為に。その言葉は、胸の内へとしまって置く。これは、私とあの社長の中で大切に抱いていればいいことだ。 
  
 「――そうか、受けてくれるか!」 
  
  そんな大声が、突如エントランスホールに響く。私は一瞬身を震わせた。社長はずかずかと私の方に歩み寄ると、がっしりとしたその手で私の肩を掴む。 
  
 「いやぁ、本当の話をすると、君は来てくれないかもしれない、と私は思っていた。あの事務所に愛着を抱いていたようだからね」 
  
 『愛着を抱いているのは、今もです。ですが、あの事務所の社長は、私の意思を尊重してくださいました。そして、私は変わらなければならない、と思ったのです』 
  
  私はそう答える。この数週間の間に、私の周りの環境はガラッと変わった。全ての始まりは、あの日、あのバーで出会った一人の女性だろう。 
  
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