155: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/09/01(日) 07:05:26.63 ID:GlcPGu06o
『……てっきり、私は営業か広報に回されるものとばかり』
私は思わずつぶやいた。そもそもプロデュースの経験もないのに、なぜこの社長は私をプロデューサーに抜擢したのか。
流石に未経験の仕事に就けたりはしないだろう、という前言を撤回しなければならない。ついでに、正攻法という言葉もだ。
この社長は、私が思った以上にぶっ飛んでいるらしい。
「思うに、君は営業や広報だと、裏方過ぎて埋没してしまうタイプと見たんだよ。まあ、未経験かもしれないが、同じような仕事だ。頑張ってくれたまえ」
豪放なのか無茶苦茶なのか、分からない笑い声を上げると、社長は思い出したように時計を見る。
「おっと、これではいけない。そろそろ他の事務所を回る時間だった。それじゃあ、Pくん。よろしく頼んだよ」
社長は、やや呆然とするままの私を放置するように、そのまま社屋を出ていく。
『……たまげたなぁ』
あの自由気ままで豪放磊落な性格は、一体どうやって培ったのだろうか。
失礼なことであると自覚しつつも、そう思わずにはいられなかった。
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