過去ログ - モバP「凡人と第六感」
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166: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/09/07(土) 00:50:43.84 ID:XIq8vfkGo
『……え?』

 この声を私は知っている。そして同時に、この声を私は”知らない”。言葉は矛盾しているようで、矛盾していない。

 防音扉を閉める事も出来ず、私は、ただ聞き入っていた。

 バーのステージに立つのは、良く見知った女性だ。しなやかな、とても優雅に揺れる黒髪を僅かに輝かせ、真珠のように白く、細やかな肌を煌かせ、彼女は歌っていた。

 それは、今までと違ってクラシック――オペラや独唱曲とは違った、今どきのポップでキュートな歌。最近頭角を現してきたアイドルの曲だったかと思う。

 彼女――黒川千秋がその曲を歌っているのは、いささか驚きを禁じ得なかったが、そんなことは些末なことだった。

 彼女の声は、今までのそれとは違っていた。なんというか、彼女の持つ威圧感や畏怖と言う物を、まるで感じないのだ。

『……そうか』

 私の中で、彼女の声に対する評価の、その疑問がすべてするすると解けていく。そして、それは良くも悪くも、彼女は凡人であることの証左であることも。



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