171: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/09/07(土) 00:53:56.76 ID:XIq8vfkGo
「――、――ッ、――!」
彼女は歌う。伴奏はなくとも、曲が終わりに近づいているのはわかる。独唱でありながら、いや独唱だからこそか。彼女の歌声は聞く人の心を掴み、そして震わせる。
これが感動か。私は今、人生で初めてそれを痛感している。
寒さとは無縁のはずの、少し汗ばんだ肌が、鳥肌を立てる。体中の毛と言う毛がすべて逆立つ。全身全霊で、彼女の歌声を聞いている。
気が付けば、私の目から涙が零れていた。泣くなど、数年ぶりかもしれない。何より、歌を聞いて泣くなんて、初めての経験だった。感極まる、というのはこういう事なのか。そう考えた。
そして――。
「――ッ!」
歌が、終わった。千秋さんが、見たこともないほど息を弾ませている。その表情は、喜びと、達成感と、そして何より楽しんだ、という感情がにじみ出ている。
217Res/148.60 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。