180: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/09/09(月) 21:33:50.95 ID:0nmeJ36Po
私は彼女の才覚だけではない。その人間性にも、そしてその姿勢にも惹かれた。強いて言うならそれが根拠だ。それ以上の説明はできない。
もしこの言い分が通らず、彼女が受け入れられなかったなら、彼女を受け入れてくれる事務所を探すつもりさえあった。
(もしそうなると、移籍の正式な契約書にサインする前に辞表を提出することになるのかな)
私は、そんな間の抜けたような事を考えている。以前の私ではありえない事だろう。
前の社長に言われた、いい方向に変わった、というのがちょっと信用できなくなりそうだ、と私は内心苦笑した。
だが、そんな心配は無用の長物だったらしい。
「勘だって? わっははは、Pくん、君は変わったなぁ。最初に会った時は、特に何の特徴もない普通の青年と思っていたが。いやいや、良い変わり方だ、ふっふふ」
社長は、豪快にそう笑い、何故か前の社長と同じように私を評価した。自分ではあまりそう思えないが、社長は満足したらしい。
やっぱりぶっ飛んだ社長だと改めて思う。普通だと、少なくとも注意はされそうなものだが、この社長の良さであり、才覚を支える柱の一本であるのは間違いないことだろう。
もっとも、初めて目の当たりにする千秋さんはこの状況を見て目を丸くしていたのだが……。
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