185: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/09/09(月) 21:38:27.78 ID:0nmeJ36Po
『……まあ、何とかなって良かったよ』
私は呟きとも、声掛けともいえる調子で言った。これでもう、引き返すことはできない。
無論、引き返すつもりも、そうなる予定もなかったが、それでも少しばかりの罪悪感――千秋さんを巻き込んだかもしれない、という想いは簡単には拭えない。
「Pさん」
そんな様子をみた千秋さんが、私の方へと向き直り、そして少し微笑みを浮かべながら、言った。
「私、頑張るわ、アイドル」
『……え?』
「私、Pさんを信じているもの。きっとあなたなら、トップアイドルに連れて行ってくれる。あなたとなら、トップになれる。なぜだか、そう思うの」
我、天啓を得たり――。
古い表現だが、まさしくそう表現するにふさわしい、明るい、澄み切った表情を私に向ける。
その瞬間の彼女は、思わず直視できないほど輝いていた。それは、彼女の持つ白い肌の比喩ではない。彼女が持つ、生来の純粋さが、私には眩しく、そして魅力的に映ったのだった。
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