197: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/09/14(土) 04:11:36.05 ID:rrrgeDjMo
「どうかしら、Pさん? 変じゃないかしら」
いつもとは違う礼服姿の私に、彼女はいつもと変わらない微笑を添えて尋ねる。
『とんでもない、見とれるほどですよ、千秋さん。――ネックレスも、よく似合ってます』
彼女の問いかけに対し、私は一切の嘘も偽りもなく、そう答える。
薄いブルーのドレスに、白い手袋をつけたその姿は、彼女自身の優雅さとその容姿も相まって、まさしく令嬢と呼ぶにふさわしい姿となっている。
そして、その首元には、一条のネックレスが光っている。大粒の黒真珠を、大胆にも一粒丸ごとネックレスにしたものだ。
「ふふ、ありがとう、Pさん。こんな素晴らしい物を頂けるなんて、思ってもみなかったわ」
彼女は微笑むと、本当に嬉しそうに言った。千秋さんが首に付けているその黒真珠のネックレスは、昨日私が彼女に贈ったものだ。
今日、彼女は年末の大晦日フェスに、シークレットゲストとして参加するのだ。これでようやく、一流アイドルに名を連ねることになる。
無論、さらにその先の頂点――トップアイドルへの道は、目の前に見えている分だけ険しい道だ。それでも、ここまで来たのだ。彼女ならやってくれると信じている。
ネックレスは、ここまで来たことのお祝いと、トップアイドルになる、その前祝いというわけである。
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